O-Mu

 まず構造は外殻とその内部の中心に位置する核に分かれる。このニつは物理的にはワイヤーとダクトによって繋がっている。外殻は内観上、上殻、下殻、その二つをつなぐ24対のモノリスからなるストーンサークル及びダクトにつながるプラント等より構成きれ、核は工場群、甲羅、気球、及び姿勢制御装置などの付属機器から構成される。この二つは奇妙で徴妙で絶妙な共生の関係を結んでいる。外殻は核のことを熟知していると言われるが、核は外殻のことを殆ど何も知らない。このことは核が外殻に対してある種の憧憬を抱かせる原因であり、更に核にとって外殻の外部については全く無知蒙昧な状態てあるので、更に強力な憧憬が生じている。この状態は構造体全体のパランスを保つ上で非常に重要となっている。又、核は外殻から派生したといわれるが、事実はその逆かもしれないし、どちらでもないかも知れない。「神のみぞ知る」と言いたいところだが、その言葉は同時に、ある形而上的な存在の優位性の肯定を含んでしまい、この問に対する答えともなってしまう。

 核はその体積の殆どを占める気球によって常に浮上している。工場群はそれに熱量を与えるために活動する。活動を停止すれぱ気球は核の重さに堪えかねて落下するが、落下することは外殻に接触する事でもある。個々の工場も活動が停上すれぱ解体ざれてダクトを通り、外殻に至る。工場部全体の重量は徐々に増していくのでより強い浮力が必要となる。高い熱量を生戎しうる工場が建造され、核は支えられるが、過剰な浮カをを与えるとワイヤーとダクトの拘東を断ち切り、外設と核は衝突する。つまり非常に徴妙なバランスがここでは要求されている。

 幼生はのちに核において工場になるためのユニットである。それは外殻の下部に位置する工場によって生産されている。工場を構成するためのパーツや材料、それらの設計図でもある記憶素子、及び浮遊するために必要な気球や動力装置にを備えている。記億素子には更に外殻の外から伝えられる情報や、核上での情報交換により得たそれを蓄積する役目もあるが、記億素子が有する総べての情報は互いに独立したものではなく有機的に結び付いている。又それらの情報は不変に存在するわけではなく、記憶素子の内部で常に変質する。その仕組は後ほど明らかになると思われる。

 この工場は動力、原料、動カのほとんどをダク卜を通して送られてくる物質と、気球から送られる高温高圧の気体に頼っている。そのほか、外殻の外からも原料や撚料が送られるが、同時に情報も伝達される。この構報は幼生を製造する初段階において記憶素子にインプットされる。こうして完成した幼生は射出口を通り、自動的でもあり他動的でもある曖昧な浮上を行い、果たして核に至る。構成される工場群はそのの表面において機能的にも情報的にもひとつのパラディグムというべきものを形づくる。さらにこのパラディグムは情報交換によって幼生を選択するための機構を生み出す。それは工場群から伸びる煙突などの突起物の尖端に取り付けられたI/0ポートによって選別が行われる。つまり空中に浮遊する幼生はこのポートにつながることによって自分の機能の要不要を知るわけである。しかしこの選別の条件は同一のパラディグム上に於いても場所によって変化があり、必要条件と比較して幼生の有する機能は多大である場合が多い。幼生は工場群に着地すると情報にしたがって組み上がっていく。完成された工場は独立して機能する場合もあれぱ、既存の工場の一部として機能する場合もある。

パラディグムの地盤になっているものも当然パラディグムではあるが、この上下間においても機能しているかぎりコミュニケーンョンはとられる。つまり上下方向にシンタグムを構成する。

 古くなり機能しなくなった工場は都市の最下部から徐々に分解されていくので、この都市は地盤が非常に軟弱であり、日常茶飯事のごとく地盤沈下が起こる。これによって地層であるパラディグム層には文字どうりし褶曲や断層が生まれる。このことによって仮に機能陣害が起こっても修復によって再び回復するが、それぞれのプラントの3次元的な位置関係が以前とは異なるためコネクションも変わってしまう。パラディグムによる構成法では得られなかったシステムがここに構成される。新しくつながったコネクションによって情報は更に行き交いするため、記憶素子が蓄積する情報も変化し、次世代に建造される工場の機能にも影響が与えられる。また分解されたプラントのパーツは気球と外壁との間隙を落下し、第ー次解体機の中にはいる。ここてはダクトを通過できるサイズまで分解ざれる。更に外壁の工場にはいる前に第ニ次解体機によって細かく分解される。しかしこの分解によっても記憶素子は破壌されない。こののち記億素子は他のパーツと分けられる。記憶素子はそのほかの種類のパーッや素材と比べ、比重が小さく、ある種の液体に浸すことによって容易にふるい分けることか可能である。 工場群の中央には螺旋伏に塔が建造される。これは工場群が活動するもうーつの目的でもある。塔は外殻の上部にある唯ーの開口部に向かって伸びてゆき、その成長は尖端が開口部に届くまで止まらない。憧憬がそうさせるのである。この現象は非常に必然的で、リピドーといってもいいほどである。

図面を見れぱわかるように外殻の外観は記憶素子と相似形をなしている。

つまり、.O-Muを形作っているものは無数のO-Muであり、そのO-Muを形作っているものは無数のO-Muであり、そのO-Muを形作っているものは無数のO-MuでありそのO-Muを形作っているものは無数のO-MuでありそのO-Muを形作っているものは無数のO-MuでありそのO-Muを形作っているものは無数のO-Muであり(以下省略)

 そして逆に O-Muを支えている社会全体はーつのO-Muであり、そのO-Muを支えている社会全体はーつのO-Muであり、そのO-Muを支えている杜会全体はーつのO-Muであり、そのO-Muを支えている社会全体はーつのO-Muであり(以下省略)

あるレベルのO-Muの内部で変質し作り出したデータは一段階大きなレベルのO-Mu内の工場群によって価値付けられていく。廃棄きれたO-Muはニネルギーの供給を絶たれ、おのずと崩壌へ向かう。しかしそうでなくとも例外なく、すべてのO-Muは崩壌していく。塔の完成はこの事実を情報として工場群に伝える。その後、徐々にそれらは機能を停上し、又その情報を含む記憶素子を受取った外殻は外殻の格間に仕組まれた窓を全て開放する。工場群を構成する物質はその機能を失いながら全て窓をぬけて外部に放出される。これらは他のO-Muに工場の原料として吸収される。この時外殻の指令によって工場群のなかに造られたユニットがある。これはアークとよぱれる。アークは非常に強固に造られており、最終的なカタス卜ロフィにおいても他の工場のようにば崩壌しない。しかし他のものと同様に外殻の外へと放出される。ユニット内にはそのO-Muが蓄積しし、作り出した情報のセレクションが納められており、運が良ければその情報は他のO-Muに吸収される。約束の地は果たして何処に。